Jabra Speakは、GNオーディオのオーディオブランドである「Jabra」のスピーカーフォンシリーズになります。スピーカーフォンは集音マイクとスピーカーが一体型となっている機器で、普段利用・仕事利用と幅広く利用することができます。
スピーカーフォンは企業で導入されているイメージが強いと思いますが、昨今ではリモートワーク(テレワーク/在宅ワーク)が広く普及している影響から個人需要が上昇しています。
この記事では、Jabraから発売されているモデルの中でも人気があるJabra Speak 710と上位モデルであるJabra Speak 750について、スペックを中心に比較内容をまとめています。
- Jabra Speak 710と750の基本スペック、オーディオ性能の比較
- Jabra Speak 750にしかない特徴
Jabraとは
Jabraはデンマークに本社があるGNオーディオ(1869年創業)のオーディオブランドになります。
世界30か国以上にオフィスを持ち、100か国以上で「補聴器および音響機器の製造販売」を行っており、Speakシリーズとしては5種類のラインナップとなります。
Jabra Speak シリーズ一覧
- Speak 410
- Speak 510
- Speak 710
- Speak 750
- Speak 810
数字が上がるほど値段・機能・音質が向上しますが、Speak 810はサイズ感も大きく大人数向けなので個人用途には向きません。
Jabra Speakの全モデルの比較はこちらの記事にまとめているので気になる方はチェックしてみて下さい。
基本スペックを比較
外観や基本スペックに大きな違いはありませんが、Jabra Speak 710のほうが4時間バッテリー駆動時間が長くなります。
重さに関してはカタログスペックで3gの差なので、1円玉3枚程度と気にするほどではありません。
Jaba Speak 710 、750の基本スペック比較表
諸元表の大きな違いはバッテリー持続時間
Jabra Speak 710と750はスペック表ではほぼ変わりませんが、異なる点としては「価格」と「バッテリー駆動時間」です。Jabra Speak 710の方が価格は4,000円安くバッテリー駆動時間が4時間長い仕様となります。
スペック表から価格とバッテリー駆動時間だけに注目するとSpeak 710の方が優位性が高いように見えます。
実際にはJabra Speak 750にしかない機能があり、その機能により電力消費量が増えていることが理由になりますが、機能についてはスペック表には記載がなくデータシートに記載してあるためパッと見で違いがわからないようになっています。
Jabra Speak 750にしかない機能
- フルデュプレックスオーディオ
- 音響エコーキャンセラー
詳細な内容については本記事内で後述しています。
バッテリー駆動時間について、Jabra Speak 710は15時間、Jabra Speak 750は11時間となりますが、正直この4時間については気にしなくても問題ありません。
どちらの機器もフル充電状態から10時間以上利用でき、利用する時はパソコンからUSB給電で充電しながら使うことができまるからです。
パソコンに接続することなく連続10時間以上使用する想定がある場合、バッテリー持続時間について比較候補の材料になります。
Jabraの認定について解説
認定欄を確認すると「MS Teams」「Skype」など記載がありますが、認定されていなくても問題なく使用できます。
認定アプリケーションを使用する場合に最適化しているため、MS Teamsをメインの会議ツールとして利用する場合はMSモデルを選ぶことでさらに快適に利用できます。
個人所有でJabra Speak 710 UCモデルを使用していますが、以下のアプリケーションについては問題なく利用することが確認できています。
- MS Teams
- Skype
- Zoom
- WebEx Teams
- Cisco WebEX Meeting
- Google Meet
- Line通話(Android,MacOX)
- スマートフォンでの通常通話
基本的にはスピーカーと同様なので、BluetoothやUSBでデバイスと接続さえできれば外付けスピーカー&集音マイクとして使用できます。
認定は音質に影響しない
スピーカーフォンはオーディオ機器であるため、パソコンやスマートフォンと接続して音が出力されない・相手に声が聞こえないといった場合は初期不良の可能性やパソコンスマートフォンなどの接続デバイス、相手側の機器、ネトワーク環境などを疑う必要があります。
認定されていないからと言ってそのアプリは利用できないということはありません。
MSモデルの特徴
・MS 対応機種をデフォルトの通信デバイスとして自動的に選択。
・Microsoft Teams の LED 通知を Jabra デバイス上で見ることができます。
・Jabra デバイスの専用の Microsoft Teams ボタンにより、コンピュータ上の Microsoft Teams とデバイスとの間の操作が可能になります。
・複数の MS デバイスがある場合は、着信通話の応答に使用されていたデバイスに対し優先してオーディオが送信されます。
引用元:Jabra
オーディオ性能を比較
オーディオ(主にBluetoothのプロファイル)の比較結果です。
Jabra Speak 710 , 750のオーディオ性能比較表
Speak 710 Version | Speak 710 SNR | Speak 750 Version | Speak 750 SNR | 補足 | |
---|---|---|---|---|---|
HFP (Hands-Free Profile) | 1.2 | – | 1.2 | – | ハンズフリー通話可 ヘッドセット通信可 |
HSP (Headset Profile) | 1.6 | – | 1.6 | – | HFPの下位互換 |
A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) | 1.2 | – | 1.2 | – | データを受信しながら再生 高音質のステレオ音声を伝送 |
AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile) | 1.5 | – | 1.5 | – | リモコン操作可 |
信号対雑音比 (signal-to-noise ratio) | – | +70db | – | +70db | 信号成分中に含まれる雑音の量 |
スペック上はJabra Speak 710も750も同様ですが、以下の理由から音質はJabra Speak 750の方が良いと個人的に感じています。
- 高音はJabra Speak 710も750も差は無い
- 低音はJabra Speak 750はパワフル
低音をきちんと出力することで、音にメリハリが生まれます。
基本スペックもほぼ同じ、オーディオ性能もカタログ上は同じですが、他にJabra Speak 750が710の上位機器扱いとなっている点はどの部分になるのか、次項から解説していきます。
Jabra Speak 750にしかない特徴(機能)
これまでの比較だと、Jabra Speak 750を選ぶ理由や価格差について納得できる部分は無いことになりますが、Jabra Speak 750には次の大きな特徴があります。
- フルデュプレックスオーディオ
- 音響エコーキャンセラー
それぞれの機能について解説していきます。
フルデュプレックスオーディオ
フルデュプレックスオーディオの特徴は、インターネット越しでもお互い自然な会話ができるようになることです。
フルデュプレックスオーディオとは、電話において、どちらの話者も同時に話すことができ、自分が話している間も相手からの声を聞くことができる通信方式のこと。この機能により、対面での会話と同じようにコミュニケーションをとることができます。
引用元:https://www.nikkei.com/article/
会話の中断がなくなること(自然なテンポ)で対面に近いコミュニケーションを期待することできます。
基本的にインターネット越しだと音に遅延が発生するため、喋るタイミングは一人ずつのターン制になりますが、対面の会話だと相手の会話に割り込むことができます。
フルデュプレックスオーディオ機能があると、対面での会話により近い自然な会話を行うことができます。
しかし、以下の点には注意が必要です。
- 機能に過信しない(話すタイミングは通常の会話と同様に。割り込みNG)
- ネットワークが不安定なことによる遅延は考慮されていない
- お互い自然に会話するには互いがフルデュプレックスオーディオ対応のスピーカーを使用する必要がある
相手が話をしている最中に会話に割り込まない
当然ですが、相手の話の終了を待たずに自分のタイミングで発言するのは避けましょう。
とはいえ、フルデュプレックスオーディオ機能が搭載されていれば、間違った内容の説明を途中で指摘することがスムーズにできるようになります。
ネットワークが不安定なことによる遅延は考慮されていない
インターネット越しだとそれぞれのネットワーク環境の問題で音に遅延が発生する可能性があります。また、フレッツ回線などは共有の回線となるため、同じ回線を利用する人が多いと遅延が発生しやすくなります。
スピーカーフォンの機能ではこのネットワークの遅延に関してはどうすることもできません。
機能を活かすためには相手側もフルデュプレックスオーディオ対応のスピーカーを使用する必要がある
全ての拠点のスピーカーフォンでフルデュプレックス対応のスピーカーフォンでなければ、機能を活用することができません
例えば3拠点でそれぞれ会議をする場合、2拠点でフルデュプレックスオーディオに対応していないスピーカーを使用している場合には、「話す」「聴く」を普段のWeb会議通り相手が発言しているかどうかを意識する必要があります。
音響エコーキャンセラー(AES)
音響エコーとは、自分(A)が話した声が、自分(A)のスピーカーから聞こえてしまう現象です。
これは相手側(B)のスピーカーから発せられた声が再度相手側(B)のマイクで集音し、自分(A)の方へ音を送り返すことが原因になります。
音響エコーキャンセラーは、このような音の跳ね返りや回り込み(ハウリング)を防止する機能です。
Jabra Speak 750のみではなく710にも同様の機能(DSP=Digital Signal Processing/デジタル信号処理)は搭載していますが、AES機能有りと謳っているのはJabra Speak 750のみになります。
Jabra Speak 710に関してはこちらの記事で詳細レビューを掲載しているため参考にしてください。
Jabra Speak 710 vs 750 まとめ
この記事ではJabra Speak 710と750の機能比較を行いました。
基本スペック、Blootoothプロファイルも同等の機種ではありますが、「フルデュプレックスオーディオ」「音響エコーキャンセラー(AES)」はJabra Speak 750にしか無い機能となります。
Jabra Speak 710とJabra Speak 750で価格差はそこまで大きくない(メーカー販売価格で4000円の差)ですが、購入を迷っている場合は上記の機能が必要かを検討してから購入するようにしましょう。
「フルデュプレックスオーディオ」「音響エコーキャンセラー」「少しでも良い音質を求めている」場合はJabra Speak 750を選ぶことをおすすめします。