パソコン作業が中心となるテレワークや在宅ワークは、長時間に渡って椅子に座り続けることが多くなります。
昇降デスクや高級オフィスチェアを使用している場合を除いて、同じ体制のまま座り続けるというのは肩コリや背中の痛みなど、さまざまな体の不調の原因になります。
症状の中でも特に気を付けるべきなのは「エコノミークラス症候群」になります。
エコノミークラス症候群とは?
出典:厚生労働省
食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。
発症すると命にも関わる病気ですが、予防するには一般的に「適度な水分補給」と「ストレッチ」が重要と言われています。
この記事では、エコノミークラス症候群の原因や企業による予防実験などを紹介していきます。
- エコノミークラス症候群の由来と原因
- エコノミークラス症候群の予防方法
エコノミークラス症候群の由来
エコノミークラス症候群の正式名称は「静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)」と言います。
行機のエコノミークラス(体を十分に伸ばせるスペースがないことが多いシートやスペース)で発生する症候群(複数人に対して同時に発生する一連の症状)ということで、エコノミークラス症候群と呼ばれています。
名前はエコノミークラスとつけられていますが、ビジネスクラスやファーストクラスでも起きることはあります。
また、飛行機に関係なく同じ体制で長時間過ごすことにより発生するため、発症の危険は日常にも潜んでいます。
エコノミークラス・・・狭いスペース・同じ体制で長時間過ごす
症候群・・・複数人に対して同時に発生する一連の症状
エコノミークラス症候群はなぜ発症する?
狭いスペースで長時間同じ体制を維持していると、血液の流れが悪くなり、血管に血の塊が作られます。(=深部静脈血栓症/しんぶじょうみゃくけっせんしょう)
この血の塊は、痛みや腫れが伴うこともあります。
時間の経過などで血の塊がはがれ、例えば肺の血管に詰まり、痛い・呼吸が苦しいといった症状があらわれます。(=肺塞栓症/はいそくせんしょう)
肺塞栓症は命を落とす可能性がある、重症な病気です。
以下にあてはまる場合、飛行機でエコノミークラス症候群を起こす可能性が高くなるといわれています。
長時間の飛行で4時間以上同じ体制をすることについてもかかれていますが、リモートワークや在宅ワークでも同じ体制を続けてしまうことは容易に起こりえることです。
リモートワークは周りに人がいないとつい集中してしまいがちですが、適度な休憩やストレッチを忘れることがないようにしましょう。
注意ポイント
- 4時間以上の長時間の飛行
- 短期間に頻回飛行機を利用した場合
- 高齢者
- 肥満のある人
- 最近大きな手術を受けた人
- 妊婦
- ホルモン補充療法中の人、経口避妊薬を飲んでいる人
- がんのある人
出典:厚生労働省検疫所
他にもテレビ視聴を長時間(2時間半以上)する場合でも、発生のリスクが上昇することも報告されています。(大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座(公衆衛生学))
エコノミークラス症候群を発症するとどうなるのか?
症状はさまざまですが、主に以下の症状があらわれると言われています。
- 足やひざが腫れる。その後ふくらはぎや太ももに激しい痛みが続く
- 呼吸困難
- 発熱・失神
- 吐血
症状の程度は軽度のものから心臓発作のような重症なものまでさまざまです。
予防方法は?
明確に「こうすれば良い」と言われている予防方法はありませんが、以下を心がけ実施することが予防につながります。
- かかとのあげおろし運動
- 水分をこまめにとる
かかとのあげおろし運動については、厚生労働省が紹介している運動があるため参考にしてください。
水分をこまめに取ることが予防につながる
水分をこまめにとることで予防になるといった実験がいくつがあります。
水分でも利尿作用のあるビールやお茶では脱水が加速し、むしろ危険。
利尿作用がある飲み物は他にもカフェインを含むコーヒー・紅茶、カリウムを多く含む牛乳、トマトジュースなどがあげられます。
水分では、イオン飲料や水が良いとされていますが、イオン飲料と水、どちらが体内に水分が残りやすいかを試験している結果が大塚製薬(株)のHPに掲載されています。
9時間のフライト搭乗中に摂取した水分が、目的地到着時どれだけ体に残っているかを測定する試験になり、結果は水が28%、イオン飲料水が約48%とイオン飲料水がより対策に効果的と紹介されています。
イオン飲料はアクエリアスなどが代表的です。
この記事のまとめ
エコノミークラス症候群の由来(飛行機のエコノミークラスで同時に発生することから)や、発生の原因(血のかたまりが肺に詰まること)について簡単に解説しました。
リモートワークや在宅ワーク中でも発生する可能性のあるエコノミー症候群ですが、きちんと予防をすれば未然に防ぐことが可能です。
特に以下のことを普段から意識することが重要になるため、仕事に集中しすぎないよう注意していきましょう。
- 小まめな水分補給(利尿作用のある飲み物は避ける)
- 軽い運動やストレッチ
上記は仕事中のリフレッシュにもつながるため、習慣化することで作業の効率を上げることにもつながります。
ただし、違和感を感じた場合には自分で判断せずに、医療機関を受診するようにしてくださいね。